辺野古(沖縄県名護市)の米軍新基地建設をめぐり、地盤改良工事をめぐる変更について、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)は、国の請求通り知事に工事変更の承認を命じる判決を言い渡した。 沖縄県に対して25日までと期日を指定し、知事が承認しない場合は国による代執行を可能としている。自治体の事務を国が代執行したケースは前例がなく、極めて異例の事態だ。知事が、違法な事務処理をしたり、怠ることで著しく公益を害する場合にもあたらない。沖縄県民の民意を踏み躙る不当判決に満身の怒りをもって抗議する。
地方自治の根幹に関わる「代執行」制度の趣旨をあらためて問い、「対話」による解決を期待する沖縄県民の民意が、なぜこれほどまでに踏みつけにされなければならないのか。
判決では、「今後、10数年にわたって予定されている今回の工事を進めるにはさらなる設計概要変更などの必要が生じる可能性もありえる。そのような事態が生じるたびに繰り返し訴訟による解決が図られることは、国と地方との関係をみた場合に必ずしも相当なものとは言い難い」と苦言を呈している。
さらに、「地上戦が行われ多くの県民が犠牲になったことや戦後もアメリカ軍統治下にあり 基地が建設されていった歴史的な経緯などを踏まえれば埋め立て事業に対する県民の心情は十分に理解できるところであり国としても県民の心情に寄り添った政策実現が求められている。国と県とが相互理解に向けて対話を重ねることを通じて、抜本的解決が図られることが強く望まれている」と指摘した。まさにこの一文こそ付言ではなく判決とすべきである。
沖縄では米軍基地の被害と負担が集中し、押し付けられ続けている。北海道にある「矢臼別演習場」では、沖縄の米軍基地負担軽減を口実に移転訓練が行われているが、沖縄の負担は軽減するどころかむしろ増大している。
この異常な事態を止めることができない背景には、アメリカに追従する政権の政治姿勢はもとより、「沖縄の人たちの問題」という無関心や、「基地を呼び込んでお金をもらっている」などの誤った事実認識・差別意識など、沖縄への負担・差別を容認し、時には加担する側に立っているのではないかということを、沖縄県外に住む私たちの問題として考え、見つめ直すことが切に求められている。
道労連は、この判決確定の如何に関わらず、沖縄の基地問題は何ら解決していないことを直視し、引き続き普天間新基地建設反対・工事中止の声をあげる沖縄県内外の人たちと連帯していく。
2023年12月21日
北海道労働組合総連合
事務局長 中川 喜征
Kommentare