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執筆者の写真道労連 DOROREN

2022年の北海道最低賃金改定に関する談話

2022年8月9日


北海道労働組合総連合

事務局長 中川 喜征


 北海道地方最低賃金審議会は8月8日、2022年度最低賃金について、北海道最低賃金を中央最低賃金審議会の目安を1円上回る「31円」引き上げて時間額920円とする答申をした。答申された額は、昨年の平均引上げ額28円を上回る過去最高額の引き上げ額となったこと、さらに同じCランクでも、上積みのない他県と比較して、目安を上回る答申が出されたことは、この間の運動と世論の高まりが審議会で労働者委員を激励することにつながり、今回の成果につながったものである。


 しかし、私たちが求めてきた「全国一律1500円以上」には及ばず、地域間格差をさらに広げることになり、物価の予想上昇額3%を加味した引き上げ額とは言えず、現在の生活を維持することもままならず、31円の引き上げでは不十分であると言わざるをえない。


 北海道は、最賃近傍(最低賃金×1.15未満)で働く労働者の割合が20%を超えており(全国平均13.4%)、非正規雇用率は沖縄(44.52%)に次いで全国2位の42.82%と最低賃金の影響を直接的に受ける労働者が多い。そもそも中央審議会では、始めからランク区分により引き上げ額に差をつけ、(A・Bランクは31円)最高額の東京1072円と比較し152円に格差が拡大し、全国加重平均961円より41円も低く、地域格差の解消も据え置かれたままとなるもので、極めて遺憾である。


 政府は、6月に決定した骨太の方針に「できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上」となることを目指すと明記するも、今回の目安3.3%増額で改定されても目標達成にはなお数年かかり、コロナ禍で、真っ先に生活苦に陥っているのは最低賃金近傍ではたらく労働者であり、そこに負担と責任を負わせ、「2022年までに全国平均 1,000 円を目指す」とした政労使の「雇用戦略対話合意」を遅らせてきた政権の責任は大きい、2021年度だけでも12の道府県と124の市町村議会で最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択されおり、下請法や独占禁止法の強化など政府の責任で、最低賃金の引き上げが可能となる中小企業支援策をいますぐ具体的に明らかにするよう求める。


 経営者側は審議会の中で資材高騰分を価格転嫁できずに収益が圧迫されていることを理由に、引き上げ幅は小幅にとどめたい考えを示しているものの、コロナ禍でも2021年度、国の税収は67兆379億円と、2年連続で過去最高を更新している。円安の影響で輸出企業の業績が伸び、企業が納める法人税が増えるなか、大企業の内部留保も膨らみ続けており、それらを活用した公正な取引の実現と中小企業への支援を強化すれば、最低賃金の大幅な引き上げや全国一律制度の確立は十分に可能である。


 道労連をはじめ全労連に加盟する地方組織は、「最低生計費試算調査」を全国各地で取り組む中で、「8時間働けば人間らしく暮らせる」ためには、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上が必要性であることを明らかにしてきた。貧困問題やジェンダー平等の観点からも、引き続き最低賃金の大幅な引き上げ、地域間格差の是正などに全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。


以上


 




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