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  • 執筆者の写真道労連 DOROREN

2023年の最低賃金改定に関する談話

更新日:2023年8月10日

2023年の最低賃金改定に関する談話


2023年8月8日

北海道労働組合総連合

事務局長 中川 喜征


 北海道地方最低賃金審議会は8月7日、2023年度北海道地域別最低賃金を中央最低賃金審議会の目安同額である「40円」引き上げ、時間額960円とする答申をした。答申された額は、昨年の平均引き上げ額31円を上回る過去最高額の引き上げ額となっているが、長期化したコロナ禍からの歴史的な物価高騰に直面しており、この引き上げ額では不十分である

月に総務省が発表した全国消費者物価指数の対前年同期比は3.2%と、21カ月連続で上昇している。


 さらに北海道は、23カ月連続で上昇しており、「40円」では物価高騰を後追いするだけで、最賃近傍で働く労働者の生活改善にも、経済の活性化にもつながらない。今年度より、ランク数が4から3へ変更され、地域間格差の是正につながる目安が期待されたが、目安通りの改定となると、最高額が1,113円、最低額が892円となり、地域間格差は221円と昨年から2円広がる。


 全国加重平均は1,002 円と岸田首相が公言する「できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1,000 円以上」を実現する形にはなったが、北海道の960円では平均額1,002円と比較し42円下回り、昨年と比較しても平均額で1円の開きが生じている。そもそも加重平均が上回っているのはAランクの都府県のみで、40道県が下回るという実態は、ますます地域間格差が拡がった中身であり極めて遺憾である。


 道や札幌市が主要産業と位置付けている「インバウンド」に関する職種 (飲食フード・営業販売・小売・接客レジャー)の募集賃金は平均額で1,063 円と加重平均を61円上回っているが、(道労連調べ タウン誌・求人誌23年7月第1週1,670件調査)平均額1,002円を下回る募集件数は1079件(64.6%)と、半数以上あり、下限額を引き上げる必要は明確である。


 北海道の専門部会での参考人聴取の中でも、人材確保のためには募集賃金に引き上げが必要であることは、労使ともに共有された課題になっている。しかし物価高騰分を価格転嫁できずに収益が圧迫されていることで、引き上げの困難さを訴えている。政府の責任で、最低賃金の引き上げが可能となる中小企業支援策をいますぐ具体的にすすめることを求める。


 道労連を含む全労連地方組織は、全国28の都道府県で「最低生計費試算調査」に取り組み、その結果から「8時間働けば人間らしく暮らせるには、全国どこでも月額24万円(時給1500円)以上必要であることを明らかにしてきた。物価高騰は低所得者ほど重荷になることを考えると、地域間格差を広げる今回の目安は根拠も不明確であり、最賃法の目的に反し、看過することはできない。地域間格差が広がっている地方の実態は深刻であり、改善要望は切実である。


 2020年度から2022年度に223の自治体で最低賃金の引き上げと格差の是正、中小企業に対する支援の強化を求める意見書が採択され、その声は年々広がってきており、政府はその声に応えるべきである。最低賃金には労働者の生活保障や格差を是正する機能があり、「分配の適正さ」が求められる。


 道労連は引き続き、貧困問題やジェンダー平等の観点からも、物価高騰に対応できる最低賃金の大幅引き上げと、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である。


以上

 

23年の最低賃金改定に関する談話 23.8.8
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撮影:吉岡 俊介 氏


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