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執筆者の写真道労連 DOROREN

「#子育て緊急事態アクション」はじまる。

更新日:2021年2月19日

「#子育て緊急事態アクション」について


 

全国一斉休校

 2020年2月28日、鈴木直道 北海道知事の「緊急事態宣言」により、全道の小中高校は3月2日から一斉に休校となりました。宣言は19日に一旦解除されたものの、26日からは春休みに突入。ほとんど登校日の無いまま、4月7日には特措法に基づく政府の「緊急事態宣言」が発令され、臨時休校は5月31日までの約3か月間続きました。

 この期間中は、保育園や放課後児童クラブ、放課後児童デイなども、風邪症状のある児童には「登園自粛」を呼びかけていたため、家に子どもを置いて仕事に行くことが現実的に困難な親たちは、緊急事態宣言が解除されるまでの期間、先の見えない不安な毎日を過ごす事となりました。

 

国が「責任を取る」約束だった

 全国一斉に臨時休校となれば、当然心配されたのが、親たちの休業補償問題です。特に、時給制・日給制で働く、パート・アルバイトなど非正規労働者(特に母親)の収入が大きな打撃を受けることは、休校前から明らかでした。

 そうした懸念から、「全国一斉休校」を言い渡した安倍前首相は、2月29日の記者会見で「(一斉休校で減収の親に)新しい助成金制度を創設することで、正規・非正規を問わず、しっかりと手当てする」と明言。

 急きょ「小学校休業等対応助成金」の創設を発表しました。 決定権者による当然の措置とはいえ、この時、制度創設をニュースなどで知り「それなら休業しても大丈夫」と胸をなでおろした働く親も多かったのではないでしょうか。


※参照:東京新聞2020年12月20日https://www.tokyo-np.co.jp/article/76982

「『休校』助成金、働く親に届かず 勤務先申請せず予算執行4分の1どまり」


 小学校休業等対応助成金は、事業主が対象者に対して、年次有給休暇とは別に「特別休暇」を付与し、賃金全額を保障する事を条件に、国が事業主に対してその10割を助成金として給付するというものでした。休校に伴う休業により収入が激減する事のないよう、労働者の生活保障のために創設された助成金です。

 月給制の正規労働者であれば、会社が在宅勤務やテレワークを命じて休業を回避し、賃金保障する例も多数ありましたが、時給・日給制、シフト制で働く非正規労働者の多くが、自分の年次有給休暇を消化させられたり、欠勤扱いとされました。この助成金は、こうしたケースに対して役割を発揮するものと期待されました。


※参照:2020年12月16日プレスリリースの、株式会社パーソル総合研究所の調査によれば、正社員のテレワーク実施率が24.7%であるのに対して、非正規雇用の実施率は15.8%と8.9ポイントの差。1万人以上の企業では45.0%と高い割合となった一方、100人未満では13.1%と低い割合になり、約3.4倍もの大きな差がついた。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000455.000016451.html


 

約束が違う!

しかし、いざフタを開けてみれば、「皆が一斉に休むことになれば、職場が回らない」、「出勤する人との間に不公平感がある」などの理由で、休業補償を会社から拒否される労働者が続出しました。制度を作った厚労省は、さっぽろ青年ユニオンや親の会との懇談でも、事業主に対して「活用を促す」事しかできないとの立場を崩さず、責任を取るはずだった国も、野党議員からの追及に対して「制度の周知、活用の促進に努める」と 繰り返すばかりでした。小学校休業等対応助成金の助成率は、1月22日時点で27%と、制度を最も必要とする人たちには行き渡らない「幻の助成金」となっているのが現状です。


※参照:厚生労働省の発表によれば、小学校休業等対応助成金の総予算額は1,719億円(予算額・執行額ともにフリーランス対象の「小学校休業等対応支援金」を含む。厚労省HPより

 

休んだ親は、「ずるい」のか?

 今年1月31日の東洋経済オンライン記事「非正規の母が悲鳴上げる『助成金問題』の理不尽」には、「小学校高学年だけど昼は冷食を食べさせて、頑張って出勤した」など、休校期間中も何とかやりくりをして勤務を継続した労働者が、休校助成を求める労働者に、コメント欄で「ずるい」とやりきれない気持ちをぶつけています。 ※参照:https://toyokeizai.net/articles/-/406707


 子どもを家に置いて仕事に行くことは、どんなに心配だったことでしょう。 休校の影響を直接的に受けなかった労働者も、往来自粛が呼びかけられた緊急事態宣言下で、感染リスク度外視の出勤要請を受け、大きな不安を抱えながら働いていました。

 解雇や雇止め、シフトカットなど、突然働くことが出来なくなり途方に暮れた労働者もいました。確かに、さまざまに異なる立場で、誰もが苦境を強いられているのは事実です。

 でも、ちょっと待ってほしいのです。緊急事態宣言下、どうしても仕事を休むことが出来なかった人と同じ様に、私たちは一斉休校期間中、どうしても仕事に行くことが出来なかったのです。休業も勤務の継続も、誰もがそれぞれの事情から、苦渋の選択を迫られた結果だったはずなのです。

 「不公平感」を理由に助成金の活用を拒む企業は、こうした労働者間に存在する対立的な雰囲気を利用し、自ら雇用した従業員に対する責任を放棄しています。国もまた、この制度創設の責任を放棄しています。

 労働者同士の分断を煽るような「不公平感」の議論に、私たち労働者自身が乗るべきではありません。「誰が一番大変だったのか」を決めるチキンレースに参加してはいけないのです。

 私たちは、この休業補償問題で、他のどんな労働者とも対立などしていないこと、問われるべきは、制度を作った国と、制度を行使する企業の責任だということを、改めて確認しておく必要があります。

 

小学校休業等対応助成金の個人申請を

 一年前に北海道で緊急事態宣言が発令された、2月28日を迎えようとしています。  国が決めた一斉休校によって仕事に行くことが出来なくなり、助成金の活用を勤め先に拒まれ、前首相が責任を取ると約束したのに何の救済策もない。不可抗力の休業にもかかわらず、助成金を使ってと求めれば「ずるい」と後ろ指をさされる。私たちは、この一年ほど、ずっと振り回され続けてきました。

 新型コロナウイルスの感染者数は、いまだ収束する見通しはなく、都道府県や自治体ごとの休校措置が取られないとも限りません。今のままでは、また同じことが繰り返されます。 もうこれ以上、こんなことを我慢し続ける事はできません。

 正当な権利を行使し、命と生活のどちらも守りたい。 子どもを育てながら働くことに、希望を持ちたい。小学校休業等対応助成金の制度運用の変更など、過去分の休業で被った経済的な損失を回復する措置が取られれば、今は置き去りにされている人たちが救済されます。

 当事者が声を上げることで、一年近く放置されてきたこの問題に変化を起こせるならば、ほんの少しかもしれないけれど、子育てしながら働きやすい社会に一歩近づくことが出来るのではないか。

 私たち #子育て緊急事態アクションは、そう考えています。私たちと一緒に、賛同の声を上げてください。


2021年2月 #子育て緊急事態アクション

 
 
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