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執筆者の写真道労連 DOROREN

労組の力、オルグの醍醐味、満載。


豊富な実践と経験、次の世代へ

「労働相談から組織化をめざす学習会」


 「なかなか労働相談が来ない」「解決すると組合をやめてしまう」.. 労働相談に関わっている人たちに共通する悩みです。どうすれば、職場に影響力を発揮できる労働組合をつくれるのか、その労組を維持・発展させられるのか。これまで、幾多の労働組合を結成してきた札幌地域労組の鈴木一副委員長(写真・上) を講師に迎え、その秘訣について学びました。



「うちは無理」からエンパワーへ

組織化は可能か? 見極めが大事!


32年間の労働組合専従・オルグ経験のうち、労働相談の中で「組合をつくりたい」から始まるケースはほとんどなく、「うちの会社で組合つくるなんて絶対に無理です!」というのがほとんどで、ここから労働者の熱量を高めつつ、結成の準備を重ねていくプロセスなどをレクチャーしました。 

 また、労働組合は「復讐代行」ではないし、どのタイミングで結成するのか、そもそも結

成が可能なのかどうか、その見極めも重要であることを失敗事例も含めて解説。

 道労連の労働相談事例をふまえると、「駆け込み」にとどめてしまっているのではないか? 「組織化」を追求するための段取りをきちんと取っているか?など、あらためて見直

していくことが大切との気づきを得ました。



先を読み、備えておく。

結成よりも、その後の維持が大切


 鈴木さんは、これまでに150を超える組合を結成してきたなかで、約8割で不当労働行為が起きた経験をもとに、会社の攻撃をどう跳ね返してきたのかについて触れました。

 労働組合をつくること自体はとても「簡単」だが、会社側からの攻撃を跳ね返し、潰されずに要求を勝ち取っていくためには、常に先を読んで備えておくことが重要。「過酷な不当労働行為でも、嵐に備えていればこそ被害を最小限にし、乗り越えられる」との指摘に、参加者は苦い経験を思い出しながら大きく頷いていました。

 使用者側が組合結成通知を受け取った後、どんな反応に出るかを予想しておくなど、「不当労働行為を待ち遠しいと思えるようになれば本物」との言葉からは、労働組合が本来持っているパワーの凄さとオーガナイザーに求められる力量が裏打ちされていました。

 道労連全体では、すでに労働組合がある職場内での拡大運動が9割を占めている現状では、こうしたオルグの経験・力量を養う機会が極めて少なくなっているため、「新しい職場に旗を立てる」ためにも学習・トレーニングの場が必要です。


ネット・SNSは必須

労組を必要とする人に届く発信を


札幌地域労組は、社会的に有名な企業などからも相談・組織化につながるケースが多々あり、そのつなぎ役として重要なのがWEB。労働組合を知らせ、相談から組織化につなげるためにはホームページやSNSが必須と強調しました。

 加えて、ただ発信すればよいというものではなく、固い言葉は一切使わず、労組を知らない人でも受け入れやすい表現・デザインが大事であると指摘。紙媒体である組合のニュースも「自己満足」のような内容のものがあるが、誰に読んでもらうのかを考え、その人たちに伝わるものにしていくことの重要性について事例を交えて紹介しました。

 まだ多くの労働組合がWEB・SNSを取り組めておらず(継続・更新も含め)、スタートの段階で労働者との接点が大きく欠落しているという点は、本格的にバージョンアップしていくことが必要だと再認識しました。



この本を読まずして組織化は語れない!

 それぞれの『我流』だけで、これまで体系的にまとめてこられなかったことが、この一冊に凝縮されています!教科書で、バイブルで、虎の巻です。ぜひ読んで欲しい!超オススメします!(道労連事務局長 中川 喜征)


 

著者:札幌地域労組 鈴木 一 氏

価格:1800円+税

版元:寿郎社



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