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病院をつぶさないで!診療報酬の臨時改定を!

執筆者の写真: 道労連 DOROREN道労連 DOROREN

25春闘「ローカルビッグアクション」で広がる共感~道内6地域で

 

「このままでは、病院がもたない..」

医療現場の実態を知らせ、診療報酬・介護報酬の臨時改定などを求め、道労連と北海道医労連は2月1日、「ローカルビッグアクション」を全道6地域で取り組みました。全労連もケア労働者の賃上げを重視して取り組むことを呼びかけており、北海道ではその中でもとりわけ経営環境が厳しくなっている医療・介護に焦点をあてています。


物価高騰分を転嫁できない制度に


新聞やテレビでは「都内の病院、半分が赤字」「地域医療崩壊、自治体病院存続の危機」「大学病院の経営悪化、通常の医療業務が赤字」「ボーナス削減、看護師大量離職の危機」こうした見出しが並んでいます。保険医療制度では、「公定価格」(診療報酬)が決まっているため、病院側が燃料費や物価高騰分などを価格に上乗せすることはできないシステムになっているためです。



経営悪化の一方で真逆の言説も

「コスト増に対応した診療報酬の引き上げ」がなければ、医療機関、とりわけスタッフを多く抱え、物品購入量の多い「病院」の経営はますます厳しくなっていきます。一方で、「病院は儲かっている」「看護師の賃金は高い」など、「なんとなく」のイメージを持っている方も少なくありません。場合によっては、「病院はたんまり補助金をもらったから、コロナ太りしている」など事実とは真逆の言説も飛び交っています。



実態を届けて、共感を広げる。


道労連と北海道医労連は、要求討議や団体交渉などそれぞれの職場での春闘のたたかいを重視しつつ、もはや個々の病院の中だけで解決できる問題ではないことから、2年1度の見直しとなっている診療報酬・介護報酬の臨時改定を求めています。


そのためには、看護師や介護士など現場で働いている人たちの「思い」と「実態」を知らせ、国民的な共感へと広げていくことが大切です。JR札幌駅前南口広場で行われた札幌行動では、看護師など医療労働者が次々とマイクを握り、署名への協力を呼びかけると、足を止めて署名する人が相次ぎました。






 

病院を守れ!医療労働者を守れ!の声を上げよう

道労連議長 三上 友衛 2020年からの4年間で物価全体は109%に高騰し、生鮮食料品は120%、電気代は122%に高騰しています。道労連は、全労連に結集して、物価高騰を超える「月額3万2千円・時間給200円以上・10%」の賃上げを全労連に結集して目指します。


労働者の実質賃金が上がらず、景気の低迷が続く「失われた30年」のもとで物価高騰が襲い掛かり、労働者の賃上げの必要性は、いま社会的な合意になっています。政府も2020年代のうちに最低賃金を全国平均で1,500円に引き上げることを宣言し、多くの政党も早期に時間給1,500円の実現を主張しています。


2024年春闘では、私たちの上部団体全労連の平均で、27年ぶりに1万円を超える賃上げを実現しました。しかし、労働者全体でみても物価高騰を超える賃上げとは言えない状況です。



とりわけ、医療・介護・福祉労働者の賃金が上がっていません。大企業の賃上げの3分の1の水準です。新型コロナ感染症に命がけで立ち向かい、今でも5類になったとはいえ、インフルエンザも含めた感染症対策に最前線で奮闘している医療労働者の処遇がこのままで良いはずはありません。


いっぽう、全国の2024年の医療機関の倒産件数は64件、休廃業・解散722件でいずれも過去最高です。北海道でも北見中央病院や旭川の精神科メイプル病院が倒産しています。このままでは、医療労働者の賃上げができず、離職が一層進みます。病院経営が成り立たず地域から病院が無くなることも予想されます。


道労連は、北海道の医療と医療労働者を守るために、国が臨時の診療報酬改定を行う必要があると考えています。もはや、一医療機関や医療労働者だけの頑張りだけでは、病院も労働者も守れないことは明らかです。


今日は、現場の看護師をはじめ医療・介護労働者がたくさん参加しています。現場の事態をお話ししますので是非耳を傾けてください。そして、病院を守れ、医療労働者を守れ。そのために、国を動かして臨時報酬改定を実現しろ!の声を一緒に上げて欲しいと思います。



 

「ナースコールは押せない」..診療報酬を上げて!

看護師(病棟) 能登 真紗美 さん


私は以前整形の病棟で働いていました。3年前に2人目を出産し現場に戻ると10数人知らないスタッフがいました。現場では中堅に指導やリーダー業務など多くの仕事を任されており、過負荷になってしまっており、残業が多い、給料が低い、ボーナスが少ないと辞めていく仲間が多くいました。


病床も埋めなければ赤字になると言われ、病床稼働率も90%後半を維持できるようにベッドを回していましたが、その分仕事も増え、残業は増えるばかり。給料は安く、ボーナスは上がらないどころか昨年の冬は大幅カットされ、平均15万円ほども下げられました。


残業が多く夜勤回数も協定の8回を守ることができず、現場の状況は非常に厳しく、体を壊し、心を病み辞めていく仲間もいます。そしてそれは私たちの病院だけではなく多くの病院が同じように人員不足に直面しています。


人手が足りないため、看護師はさらなる過重労働を強いられ、患者数が増えても残業時間が増加する一方です。ベア評価料や看護師処遇改善手当があっても病院ごとに額が違い、不十分だし平等でもありません。そして、全然足りません。



また、病院の赤字経営が続いている状況では、人員不補充が起きており一人ひとりの仕事量がさらに増える、これからの展望が見えない不安が大きくなり辞めていくという悪循環が起きています。先日患者さんから他の病院だけど、入院したら看護師さん達が忙しそうで何かあってもナースコールは押せないなと思ったと話されました。


看護師の働きやすさ、安全を守りながら患者への質の高いケアを実現するためには、診療報酬を上げて、人を必要人数雇うことができ、仕事量の適正化が必要です。全国に60万人の潜在看護師がいて、20万人現場に不足していると言われています。


この超高齢化社会の中で看護、介護の現場では人手が、マンパワーが必要不可欠です。看護、介護の目線でしかできないこともたくさんあります。タスクシェアして業務を減らせと言われていますが、そんなに渡せる仕事はありません。


人員を補充し、定時で帰ることができ、十分な給与を保障し、現場から減りつつある中堅世代や、子育て世代も働きやすく働き続けられるように誰もが月5万円のベースアップを訴えます!



 

待機から夜通し勤務も..安心できる看護・医療へ

看護師(訪問看護) 岡 薫 さん


訪問看護の仕事は、産まれた時に障害があった人、途中で怪我や病気になった人、年を重ねていくうちに、足腰が悪くなった、物忘れが出てきた人などに、自宅や施設に車を運転して訪問をしています。



待機当番があって、熱があったりすると、駆けつけることになります。夜中に働いても、人がいないと、翌日も働き通しになります。とにかく、人手が足りていません。熱があると聞くと、コロナなどの心配があって、準備・対策をしてから駆けつけます。できるだけ早く、適切に、医師につながるように支援しています。点滴、注射、薬の管理、酸素、傷の手当てなど、看護の内容は多岐にわたります。患者さんが自宅や施設で、安心して過ごせるように支援したいとの思いで日々働いています。


この間の取り組みを通じて、ベースアップ加算を実現することができました。署名をはじめ現場の要求を集めて届けた事で、叶ったことだと思っています。待機当番の問題は、当事者の看護師が声を上げて改善を求めてきました。一部、実現した部分もありますが、まだまだ改善すべき部分があります。


医師・看護師・介護士を増やしてほしい。そのためには、賃金・労働条件の改善が必要です。診療報酬や介護報酬の改定が必要です。みなさんの署名が力になります。よろしくお願いします。







 
各地の行動

【苫小牧】現場は限界、一緒に声を


北海道勤医労苫小牧支部の高山さんらがマイクを握り、多くの医療機関で本業である医療での収益が赤字を余儀なくされている深刻な実態や、人手不足と長時間労働の中で必死に医療を支えている様子を語り、「日本の医療・介護を守るために市民のみなさんも私たちと一緒に声を上げてください」と呼びかけました。訴えに聞き入る姿や、手を振って励ましてくれる人など、市民の関心が高まっていることを実感しました。



 

【旭川】街行く人たちの反応も上々


旭川では、イオンモール旭川駅前で宣伝。署名入りティッシュも配布しました。道北勤医労、年金者組合、全上川教組がマイクを握り訴えました。人でも多く、受け取りの反応も上々でした。



 

【北見】寒さ吹き飛ばす熱い思い


北見では、北見赤十字病院前で医療労働者や患者・家族などにむけてスタンディングでアピール。いまこそ医療労働者を増やして!診療報酬の臨時改定を!の熱い思いがあふれ出し、半袖でも寒さを吹き飛ばす行動となりました。




 

釧路 ― 労使共同で呼びかけ


釧路では20名が参加し、ケア労働者の状況について、経営者の立場から道東勤医協太田専務理事、看護現場から渡會幸さん、訪問介護の現場から重康有美さん、釧労連古川議長が道行く市民に訴えました。



太田さんは「報酬改定に向けて、労働組合と一丸となってともにたたかう」と話し、渡會さんは「地方からっ病院や介護施設が減り、住み慣れた街でくらすことができなくなる。どうかご家庭やご近所で医療や介護の実態について話題にしてください」と訴えました。



 

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