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  • 道労連 DOROREN

子どもも、保育士も、笑顔に。



【新春座談会】保育現場のリアルを語る。

 2023年は、労働組合の力で要求前進を波状的に実現し、組織も運動も大きく飛躍する一年にしたい。とりわけ、コロナ禍で「ガマン」と「自己犠牲」が強いられ続けているケア労働の現場で保育士として働くお二人から、現場のリアルと思いをお聞きしました。 【座談会メンバー】

道労連議長

三上 友衛さん


福祉保育労・旭川葦の会分会

知野 衣美さん(写真左)

藤田 夏実さん(写真右)

 

三上

最初に、どうして保育士になったのか?というきっかけを教えてもらえますか。




知野

私が通っていた保育園は、田舎のちっちゃい園で、年少から年長まで同じ先生だったんですよね。その先生が本当に大好きで。先生は、ずっと同じ保育園にいて、私が小学校に入っても弟を迎えに行くと必ず声をかけてくれて。この人みたいな保育士になりたいなぁっていうのと、あわよくば一緒に働けたらなぁていう思いもあって保育士になりました。


三上

なるほど。憧れの先生がいたわけですね。藤田さんは、どんなことがきっかけで保育士になったのですか。


藤田

私は小学校の頃は学童に通ってたんですけど、すぐそばにあった保育園にもよく遊びにいったりしていました。自由な感じのところでしたから(笑)。山に登ったり、川で遊んだり。先生たちも好きだったし。小さい子どもと関わることが好きで、気がついたら「保育士になりたい!」と思うようになってました。中学校や高校でも、インターンシップは基本的にすべて保育園に行ってましたし、やっぱり保育士っていいなと思いました。



拡大する貧困や孤立、専門外の対応に苦悩も


三上

お二人とも、素敵な保育園、素晴らしい保育士に出会ったのですね。「子どもが好き」というのも共通していますね。保育士になる前の「こんな保育がしたい」という理想と、実際にやってみて感じたギャップはありますか。


知野

私は、いまの法人・保育園が14年目でここしか知らないんですけど、子どもたちとこんなふうに関わりたいとか、そういう保育観や思いのズレはないですね。地域の環境に起因しているのかなと感じているのは、保護者の貧困問題だったり、精神疾患をお持ちの方だったり、保育園だけじゃ解決できないことも結構多いんですよね。


藤田

私たちは、そういうクラスを担任することが多いですよね。


知野

児童相談所に行ったり、市役所の人と連携をとったりとか、そういうことが頻繁にあるんです。保育士としての専門性の枠を超えてる時って結構あると思いますが、子どもたちのためって考えると疎かにできないんですよね。でも、その分の人手や時間が保障されている訳ではないんです。そういう部分での理想と現実のギャップは感じています。



好きだけでは務まらない保育士のリアルと魅力


三上

外の人たちに見えている仕事というのはほんの一部で、「保育園に来るまで」の背景事情も含めると、保育士の仕事の範囲は増えているし、かなり負担が大きくなっているんですね。


藤田

高校生や大学生のインターンの時にも感じてはいましたが、保育士になってより実感したのは、「子どもが好き」だけで務まる仕事ではないんですよね。その日によって、子どもの状態は変わります。気持ちや体調も違うし、午前中と午後でも様子が違ったりします。「同じような声かけ」ではダメなんです。保育士一年目は、それがうまくできずに本当に惨めで、常にいっぱいいっぱいで余裕がないまま子どもたちに接している自分が嫌でした。


知野

そうそう。わかるなぁ。


藤田

「もうダメかも」と思ったこともあるけど、だんだん経験を重ねる中で10年目になりました。「子どもが好き」という視点だけではなく、また違う観点でも子どもたちとの関わり方に魅力を感じるようになりました。


三上

子どもたちと接する以外の業務は、どうでしょうか?


藤田

今月はどんな保育をしようかという案を作成したり、月末には保育の振り返りをし、またひとり一人の子どもの成長や来月への課題などをまとめます。保護者さんに向けて、日々の保育の様子・行事の様子をお便りにして渡すので、その時間も必要なんです。


知野

今までも時間内で終わらないことも多いなかで、経験値が上がってくるとクラスだけのことではなくて、園全体の仕事とかも追加されるようになってきて。さらに仕事が終わらないんですよね。割り切って帰ることはできますが、それが終わらないと次のことが進まなくなってしまうので。自分の立場・役割として準備しておきたいんですよね。そういう業務まで保障するには、人手を増やすことが必要ですね。


三上

お二人のポジションも関係しているのかもしれませんね。


藤田

ベテランと若手に二極化していて中間がいないんですよね。新しく入っても、毎年必ず辞める人が出てしまうんです。


三上

保育士の賃金が低いことが原因ですか。


知野

同じ専門学校にいた友達や、別の保育園で同じくらいの年数働いている保育士の知人に聞くと、うちの園よりも低い水準なんですよね。賃金改善に関する制度をきちんと使っていなかったり、そもそも知らなかったりとか。労働組合があると、こんなに違うんだなって思いました。


三上

なるほど。そもそもお二人は、なんで労働組合に入ろうと思ったのですか。


知野

うちの園は3月末に新人向けのオリエンテーションがあって、園長から園の特色や説明がされるんです。そのあと、組合の執行委員長が来て「うち組合があるから」「みんな入ってます」みたいな(笑)


藤田

組合に入る、入らないじゃなくて「入るものなんです」という感じでしたね(笑)。最初は、「また夜に会議か」と思って行くんですけど、行った後には他の保育園の方の話が聞けたり、つながれたりして「やっぱ行って良かったな」と思うんですよね。



コミュニケーションと日常的な共有が大切


三上

組合活動が仲間同士のつながりだったり、色々な「現場の声」が聞けるのがエネルギーになってるんですね。具体的に実感できた成果としては、これまでにどんなことがありましたか。


知野

春闘では時給30円、月額5千円の賃上げがありました。秋には9千円アップしています。労働組合の大きな成果です。でも、一部のベテランや役員はそのことを理解できていますが、全体としては「上がった」という実感が薄いかもしれません。


藤田

そうなんですよね。この数年、なかなか集まることができないので「意見を書いておいてください」のようなお知らせ的になってしまっていて。以前だと、そもそもの内容がわからなかった場合、分会の会議で具体的・個別的に説明が出来ていたのですが、文字ベースのものでは伝えきれないんですよね。


知野

休憩時間に同じ園の中で話したりはするけど、限られた時間内なので丁寧にやりとりできず消化不良のままなんです。


三上

お二人の経験からも組合員や職場全体で課題や成果を共有し、パワーを広げていくためにも、コミュニケーションが重要だということがよくわかりますね。


知野

労働組合が「何をやっているかわかる場所」にしていくことが大切だと思います。労組の会議って、「これ、日本語なの?」というような難しい言葉、わかりにくい言葉がたくさん飛び交います。理解している一部の人たちは、何も違和感なく多用しますが、わからない人たちは「それ、わかりません」とも言えない場になっているように感じます。


藤田

以前は職場の中で、「昨日、何してたの?」みたいな感じで仕事しながらも気軽に日常のことを話すことができていました。コロナ後は、仕事以外の話をしゃべる機会っていうのは全然なくなってしまって。だから、若い人たちも、いっぱいいっぱいになっちゃうのかな。


三上

気軽に相談できる機会、はけ口がなくなっているんですね。


知野

はけ口もないし、関係性もうまく作れていないので、自分もはけ口になれなくなっちゃうという…だから「上の立場の人」になってしまい、「この人に言ってもなぁ」みたいになっちゃうかもしれませんね。


藤田

いつも「忙しい時に、すみません」て声かけられるから、きっと「余裕なさそう」と思われて、話しかけにくいと感じているのかも。仕事以外のことを話す、話せる時間もすごい大事だったんだなぁと。コロナが蔓延してから凄い感じますね。



保育の課題と魅力を横のつながりで広げる


三上

春闘で、「これは勝ち取りたい!」ということがあれば、ぜひ教えてください。


藤田

ボーナスががっつり減ってしまったんですよね。夏は10万円くらい下がりました。


知野

すごい減ったよね。これは取り戻したいよね。


三上

「ボーナス戻せ」は一致した重点要求になりそうですね。そのために、どんなことをしようと考えていますか。


知野

福祉保育労で取り組んでいる署名があるんですけども、保護者とかに依頼した分とかも今年すごい戻ってきた数が多いなって感じています。出し方も配布の仕方も去年とまったく一緒なんですけど、違いは虐待のことが凄いニュースになったことが今年は大きいと思います。


藤田

発表会とか行事の時とかにも、私たちからではなく、例えば園長の挨拶とかでも触れられたりするんですよね。理事会の人もふくめて、そういう課題・声を発信して共感してもらうっていうか、同じ価値観で考えてくれる人を増やすっていうことが大事だなって思います。そこから、また更に保護者の方が横につながっていくことで広がっていくんだと思います。


三上

最後に伝えたいことはありますか。


知野

保育士は、本当に素晴らしい仕事だと思っています。日々、子どもたちの成長を感じられたり、優しさをもらったり、それを通じて自分が成長させてもらったり。だからこそ課題や魅力を発信していきたいです。


藤田

そうそう。何気なくくっついてきたり、名前呼んでくれたりとか、あたりまえの日常が、そもそもやりがいにあふれてますし。ちょっとした子どもたちの変化が見えたときは、本当にうれしいですよ。


三上

年末のお忙しい中、本当にありがとうございました。

(※最後の写真2枚は撮影時のみマスクをはずしてもらいました)

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