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大幅引上げ待ったなし!最低賃金「改定」審議はじまる

  • 執筆者の写真: 道労連 DOROREN
    道労連 DOROREN
  • 9 時間前
  • 読了時間: 6分

 物価高騰が暮らしを直撃するなか、2026年度の最低賃金改定に向けた「第1回北海道地方最低賃金審議会」が7月1に行われました。道労連は、この審議に先立ち、北海道労働局前(札幌第一合同庁舎)でアピール宣伝を行いました。

世界は時給2800円、北海道は1075円」日本は最賃後進国


 道労連の三上議長は、全労連・道労連の「最低生計費試算調査」を紹介。29都道府県・5万人以上の協力を得たデータからは、全国どこで暮らしていても、25歳の単身者が人間らしく暮らすためには月額27万円(時間額換算で1700円)が必要です。直近の物価上昇を加味すれば、すでに1800円〜1900円が必要な水準に達しています。


 「世界に目を向ければ、オーストラリアの最低賃金は2887円、イギリスは2656円。これに対し、現在の北海道は1075円。フルタイムで働いても年収200万円に届くかどうかで、お隣の韓国にも負けています。日本は世界的に見て異常に最低賃金が低い国だということを自覚し、大幅に引き上げなければなりません」と必要性を訴えました。


 さらに、東京など都市部との最賃額のバラつき(地域間格差)が、地方からの人口流出を加速させていると指摘。「地方の高齢化と過疎化を一層進め、地域の産業を衰退させる悪循環を生んでいる」と警鐘を鳴らし、全国一律制度への転換を呼びかけました。

コンビニのほうが高い」 ダブルワークに追われる命の現場

 「日勤で毎日フルタイムで働いているけれど、これでは生活が賄えない。夜はコンビニでバイトしている。実はコンビニの時給の方が今は高いんだよね..」


 北海道医労連の坂本書記長は、組合員の悲痛な声を代弁しました。コロナ禍以降、医療や介護、福祉の現場がいかに低賃金で回されているかが浮き彫りになりましたが、事態はさらに深刻化しています。


 昨年度、北海道の最低賃金は過去最高の引き上げとなったものの、その結果、正規職員の基本給が最低賃金を下回ってしまい、急遽引き上げ対応に追われる職場もありました。


 「命や暮らしを守る社会的責務を担う仕事の賃金が、最低賃金近傍に張り付いています。本来もっと人手が必要なのに、公定価格で収入が決まっているため賃上げがままなりません。病院でフルタイムで働いた後に、夜もバイトしなければまともに生活できないこの社会構造は、どう考えてもおかしい」と制度の歪みを訴えました。

17年働いて、ようやく20万円」縮まらない格差


 続いてマイクを握った建交労北海道本部の宮澤書記長は、学童保育や清掃といった、社会に不可欠な「エッセンシャルワーク」の現場における実態を紹介。


 「熊の出没時やブラックアウトの時など、緊急事態でも子どもたちの居場所を作るために朝から現場を守ってきた、札幌市内の37歳男性指導員がいます。今年の春闘で1万2,000円の賃上げを勝ち取りましたが、17年間働いて、それでようやく月給が20万円に届いたんです」


 この男性は現在実家暮らしで、なんとか生計を立てているものの、「両親がいなくなったら、家の修繕はどうしよう。将来結婚もしたいけれど、できるのだろうか」と、常に将来への不安がつきまとっています。


 また、20年以上病院の清掃員として働く60代女性も、常に「最低賃金プラスアルファ」の時給しか支払われず、自立した生活が困難な状況です。「一人で自立して生活できない人があふれています。これはセーフティーネットであるはずの最低賃金が機能していない証左です」と怒りをこめて訴えました。

最低賃金が「歩合給の最低保障」そのものに


 自交総連北海道地連の吉根書記長は、本来、最低賃金とは労働者に保障されるべき「最低限のセーフティネット」のはずですが、北海道のタクシー業界における実態は異なると訴えます。給与体系は「オール歩合給」が主流で、乗客を乗せた分だけが収入になるシステムですが、景気や地域事情に大きく左右されます。結果として、現在の年収はわずか200万〜300万円という極めて低い水準にとどまっています。


「最低賃金が、月々の最低保障給そのものになってしまっている」


 本来なら歩合で上乗せされるべき実質的な基本給が最賃割れしているため、最賃の基準がそのまま給与の事実上の上限、あるいはギリギリの命綱として機能してしまっている歪んだ構造があります。日々、ハンドルを握りながら地域住民や観光客の足を支えるエッセンシャルワーカーたちが、まともな暮らしを営むための原資を確保できない状況が続いています。

最賃の大幅引き上げは、地域の交通インフラを文字通り命がけで支える労働者たちの「生活を引き上げる」ための、最も直接的で、最も切実な課題です。


人口500万人を割り込む 経済の好循環へ「まともな審議を」


 北海道高教組の尾張委員長は、「北海道の人口がついに500万人を切ったというショッキングな報道がありましたが、この最低賃金の地域間格差も大きな要因です」と言及。日本の実質賃金が2025年時点で前年比0.5%減となり、4年連続のマイナスを記録するなか、これ以上の賃金抑制は地方の崩壊を意味することを訴えました。


 中小企業の経営難を懸念する声に対しては、「賃金を引き上げて国民の購買力を上げない限り、中小企業の収入も上がりません。その間の激変緩和は国が責任を持って補助すべきです」とし、労働者の7割を抱える中小企業への手厚い助成を強く求めました。


引上げ「抑制」「後ろ倒し」を許さない!最賃運動を広げよう


 7月1日に開催された第1回北海道地方最低賃金審議会では、今後の日程確認とともに、中央最低賃金審議会(中賃)が地方に対して引き上げを抑制しようとする意図について報告されました。中賃は、39道府県が中賃目安を上回る答申を行った背景に「近隣県との過度な競争意識」があったと言及し、地域実態と乖離した引き上げは適切ではないと指摘しています。しかし地方では、独自の引き上げは人手不足への危機感や住民の生活困窮に応えた「自主的な判断」であり、地方審議会の判断を萎縮させかねないものです。



 こうした背景には、長引く物価高騰と実質賃金の低下に対し、労働者の生計費の実態が十分に考慮されていないという重大な問題点があります。全労連・道労連の「最低生計費試算調査」では、全国同様に時給1,800円台が必要との試算が出ており、政府が掲げる「1,500円」の目標は『通過点』にすぎず、早期実現は待ったなしの課題です。さらに、発効日の分散や地域間の格差といった現行の「地域別最低賃金制度」の弊害も浮き彫りになっており、全国一律制度への法改正が求められています。


 政府は6月30日の成長戦略会議で、最賃全国平均1,500円の達成時期を「遅くとも2030年代前半のできる限り早期」とし、従来の目標から後ろ倒しにする方針を示しました。今年度の改定審議は引き上げの流れを抑制する動きが強まることも予想されます。これまでの引き上げ額・率を上回る改定を勝ち取るためにも、最賃運動への賛同・参加を広げましょう。



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